【中国で働く先輩に聞く! vol.28】
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昔から美容の仕事に就くことを考えていたという渡辺さん。その理由は?
ものをつくるのが好きだったので、「つくる仕事」がしたいと高校生の頃から考えていました。なぜ美容の分野なのかというと、たとえば、自分がキレイになるとうれしいし、明日が楽しみになりますよね。ある意味で、人の人生を良い方向に変えたり、考え方をポジティブに変えたりできるのが「美容の仕事」。だから、ヘアやメイクに魅力を感じたんです。
海外には、以前から興味があったのですか?
高校生の頃から、海外には興味がありました。将来海外で働くために英語の勉強をしていたくらいです。就職先も、将来の可能性が広がっているサロン。将来自分も海外に行けるかもしれない、と思い選んだ会社です。まずは岐阜県内の店舗で11年間ヘアの仕事をしながら、メイクの勉強会に出席したり、選び抜かれた美容師だけが通える「SABFA(サブファ)」という資生堂の養成学校で休日講習を受けたりしながら、技術を磨いていきました。そうするうちに、月々350万円ほどを売り上げられるまでになりました。
なぜ働き始めてすぐに海外に行かなかったのかと言うと、自信を持てるほどの知識や技術がないまま、海外に行くのがいやだったから。「成長した!」と思えた頃には、11年の歳月が経っていました。06年、希望を出し、晴れて上海に赴任することに。上海では、午前中に中国語の学校に通い、午後はサロンで仕事をするという生活を送っていました。しかしサロンが上海から撤退することになり、半年でその生活が終わってしまいます。日本に帰国することになってしまいました。
一旦は帰国した渡辺さんが、再び中国に戻って来た理由は?
日本での仕事には区切りを付けたつもりだったので、戻る気にはなれませんでした。そこで日本の会社を辞めて、再び上海へ。とはいえ、上海ではたった半年しか勤務経験がなかったので、固定のお客さんもそれほど多くありません。まずはお客さんをつけようと思い、上海の「トップサロン」と呼ばれるところに入店。半年間経験を積むことにしたんです。
現在のお仕事は?
上海のトップサロンで半年の経験を積んだ後、現在の「Finger Studio」に入りました。元同僚の中国人が運営している、小さいですがとてもアットホームなお店で、紹介でしか予約を受け付けていません。私は、週の半分、このサロンでお客さまの対応をして過ごし、あとの半分を上海以外の地方都市でスタイリストの育成やサロンの運営コンサルティングのようなことをして過ごしています。そして、ときどきショーや広告撮影のヘアやメーキャップも手がけています。
コンサルティングについて具体的にお話しすると、チェーン展開しているサロンの運営上の課題を洗い出して、改善する役割を任せてもらっています。これまでの経験を活かして、若手の中国人スタイリストを育て、より良いサロンにできれば、と考えているところです。このような仕事を始めようと思ったきっかけが、以前いたトップサロンでの経験。トップサロンとはいえ、レベルはさほど高くなく、「こんな環境では良い人材が育たない」と痛感しました。中国のヘアメイク業界のレベルをアップさせられるのは日本人の力しかないと考え、育成に興味を持ち始めていたところ、ちょうどオファーが来たので応えることに。そんな流れで現在、スタイリストの育成や運営のお手伝いをしています。
お仕事の厳しさは?それを乗り越えるためにどんな努力を?
厳しいのは、仕事をするベースが整っていないことです。道具もいっしょに働くスタイリストもお客さまの意識も、日本とまるで違うんです。良い仕事をしようにも、これでは難しい。スタッフの接客・技術スキルが育っていないので、お客さまにも美容師の仕事の価値が定着しないんでしょうね。それで私は現在、スタッフ育成にも関わっているんですが、しかし、教えるのにも厳しさがあって……。何かを指摘されても、根本まで追求せず、表面的な理解で終わる人が多いんです。だから私は、彼らに「なぜ自分が怒っているのか」という理由まで伝えるようにしています。「将来、あなたにとってマイナスになるから、今、私は注意しているんだ」というところまでしっかり伝えれば分かってくれる人が多いですね。みんな、「良い仕事をしたい」という向上心はありますから。
厳しいことがあっても、日本に帰ろうとは思わないです。「自分が彼らを育てないと!」と強く思っているので。それに、育て甲斐は大きいですよ。彼らを育てることで、私自身も人間として成長できたと思います。
今後の目標は?
残念ながら、私はまだ中国で「完璧」と思えるサロンに出会ったことがありません。小さくてもいいから、ホスピタリティーを持った技術やサービスを提供できるお店を構えることが、私の目標です。もちろん一気に状況は良くなりませんし、これから数十年かかるかもしれませんが、このままスタッフの育成を続けていけばきっと将来良いサロンができると信じています。そのために私にできることを、今は精一杯やっていきたいですね。





